FORMULA NIPPON 2012年4月15日 <決勝>
- ▶ 予選 ▶ 決勝
- 天候:晴れ | コース状況:ドライ
- 決勝結果
- #38 平手 晃平 10位/#39 国本 雄資 14位
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前日の予選では惜しくも2台揃ってQ3進出を逃してしまったProject μ/CERUMO・INGING。しかし、国本は10番グリッド、平手は12番グリッドからの怒濤の追い上げを果たすべく、チームとドライバーは土曜遅くまでミーティングを続けるなど、日曜の決勝に向け体制を立て直すこととなった。
明けて日曜は雨の心配もなく、午前9時10分からのフリー走行2回目はまずまずの好天に恵まれたドライコンディションに。最後の調整時間となるこの30分、38号車平手、39号車国本はともにロングランを行うなど、決勝レースを見据えたセットアップ作業に集中した。
序盤はアウト&インを行い決勝でのピットシミュレーションをこなした2台は、そこから連続周回に。平手は5周目に2コーナーでオーバーランを喫するも無事コースに復帰、事なきを得る。1分43秒台後半から44秒台と、安定したペースで周回を重ねるProject μ/CERUMO・INGINGの2台は残り10分のあたりで相次いでピットイン。セットアップ修正を行うなどし、再びコースに戻って行くと、そのままチェッカーまで周回を続行。チェッカー提示後のファイナルラップに国本は1分43秒529、平手は1分43秒576をマークした結果、12〜13番手でこのセッションを終えることに。その後スタート練習が行われたが、フルコースではなく東コースのショートカットからピットに向かう手順を勘違いした平手がグラベルストップを喫するアクシデントがあったものの、付近にいたコースマーシャルはもちろんマシンに大きなダメージがなかったことが不幸中の幸いであった。
F3のレースやピットウォーク、さらにはJSB1000の決勝を終えた午後1時45分、ついにFニッポンの開幕戦のスタート進行が始まった。まずは8分間のウォームアップ走行が始まり、ここで決勝に向けたセットアップの最終確認を行ったProject μ/CERUMO・INGINGは、平手、国本の2台をイン側5〜6列目グリッドへと送り出した。
華やかな雰囲気の中、グランドスタンドでのドライバー紹介などが終わり、いよいよ午後2時30分、43周の決勝レーススタートに向けたフォーメイションラップが始まった。ゆっくりとウェービングしながら隊列の中でタイヤを温め、スタートに備える国本と平手。
気温19度、路面温度27度というコンディションの中、午後2時34分に決勝がスタート。シグナルがブラックアウトすると同時に好スタートを切ったのは12番グリッドの平手。国本はややそれよりは遅れたものの、まずまずの加速で9番手スタートのロイック・デュバルをかわしながら1コーナーをクリア、平手も国本の背後につける。
間に小暮卓史を挟んで国本、平手はオープニングラップから9番手争いを展開するが、国本の目前で激しく競り合っていた山本尚貴とジョアオ・パオロ・デ・オリベイラがスプーンコーナーでオーバーラン。そのまま2台は国本の目前でコース復帰するが、加速に勝る国本は続く130Rでスリーワイドになりながら前を伺うものの、行き場所がなくなりしかたなく山本とオリベイラの背後に着くことに。しかし、シケインへのブレーキンングで前に詰まった国本の一瞬の隙を付き、アウトから被せるように小暮が国本をオーバーテイク。ここで国本の左フロントタイヤと小暮の右リヤは僅かに接触するが、その影響から国本のタイヤはダメージを受け、スローパンクチャーに見舞われてしまう。
このため立ち上がり加速の鈍った国本をかわし、平手が1コーナーで10番手に浮上。国本は11番手に後退を余儀なくされるが、徐々にタイヤの内圧低下が酷くなった国本は、4周目のデグナーコーナーでコースオフを喫してしまう。なんとかコースに戻ったものの、130Rでもオーバーランしかけるなどレーシングスピードでの走行を続けることが困難になったため、やむなく立川監督以下チームは国本をピットに呼び寄せ、4本タイヤを交換することに。これで国本は最後尾である17番手にドロップしてしまう。
一方、前を行く松田次生、小暮を追う平手は、背後にデュバルを従えながら、コンマ数秒差での四つ巴の混戦を続ける。ペース的には前車を上回る平手だったが、なかなか混戦から抜け出せないままの展開が続く。コースに戻った国本は、他車のピットインなどによって10周目には16番手、11周目には15番手に浮上。トップ集団と比べても遜色のない、1分44秒前半〜43秒台後半へとペースを上げ、じりじりとポジションを挽回し始める国本。
こう着状態の中、14周目に9位にポジションを上げていた平手も15周目にピットイン。メカニックたちの迅速な作業で給油とタイヤ交換を終えた平手は、再びピットアウトしていくが、同様のタイミングでピットに入るライバル達も多く、大幅なポジションアップはならず10番手辺りでの復帰となる。一方、国本は18周目には12番手にまでポジションを回復して行く。
再び小暮を間に挟み、平手10番手、国本12番手でレース中盤を迎えるProject μ/CERUMO・INGINGだが、タイヤトラブルのため序盤に緊急ピットインを強いられたため、給油のためもう一度ピットに入る必要がある国本を28周目にピットに呼び寄せる。ここで再びタイヤを交換し給油を終えた国本は、14番手に後退するも再びハイペースでのラップを刻み始め、なんと30周目には1分42秒991というその時点でのファステストラップを奪う。戦前から決勝ペースに自信を見せていた国本はさらに翌週、1分42秒852にタイムを上げ自身のファステストラップを更新してみせるなど、ポジションこそポイント圏外ながらスタンドに詰めかけた観客の注目を一身に集める活躍を見せる。
一方10番手で追走を続ける平手も、30周を過ぎた辺りから前のデュバルとのギャップを詰め始めポイント獲得に執念を見せるが、このあたりで搭載している燃料の量が想定よりも少なく、このままのペースではレースを走り切れない恐れが出て来てしまい、立川監督は断腸の思いで平手にペースダウンを指示。省燃費マップに切り替え、燃費走行を行うこととなった平手は終盤大きくペースを下げるも、それまでに後続に築いていた大きなマージンに守られて10位のままチェッカーを受けることに。国本は終盤コースオフを喫したこともあり、さらなる追い上げはならず14位でのフィニッシュに。パフォーマンスには優れながら、Project μ/CERUMO・INGINGは開幕戦で惜しくもポイント獲得を果たすことはできなかった。
しかしチーム、マシン、ドライバーのパフォーマンスの高さはしっかりと確認出来たことで、次戦のもてぎに向けた大きな収穫を手に、Project μ/CERUMO・INGINGは開幕戦を終えることとなったのだった。
- ドライバー/#38 平手 晃平
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「抜群のクラッチミートで良いスタートを切れたんですが、前のマシンに引っ掛かる形でジャンプアップは果たせませんでしたね。その後、国本選手をパスし、4台ほどのマシンで戦う状況となったのですが、それぞれが互いに攻めあぐねているような状況で、早めのピットインなども考えましたが、逆に他車が早くピットインしたりしたので、当初予定していた15周目のピットインとなりました。決勝中のバランス的には、前日あった不安定感の解消は仕切れていなかったものの、前のマシンとのギャップを縮めつつあったところで、燃費の問題が出て来たので仕方なくペースを落とすことになりました。残念ですがチェッカーを受けて1周し、ピットに戻ろうとシケインを立ち上がったところでエンジンがストン、と止まってしまったので、恐らくあのままのペースではチェッカーを受けられなかったと思いますし、判断は正しかったと思います。なぜ給油量がしっかり入っていなかったのかなど、セットを含め反省すべき問題も出たレースでしたが、そういったところを少しずつ解消して行くことで、よりチームとしてレベルアップ出来ると思いますから、次のもてぎに期待しています」
- ドライバー/#39 国本 雄資
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「オープニングラップのスプーンで目の前に山本選手とオリベイラ選手が復帰して来て、130Rで抜けそうだったんですがスペースがなくて。そこで引いたら逆にシケインで小暮選手に被せられてしまって、少し接触してしまい、タイヤを傷めてしまいました。急激にグリップ感がなくなり、コースアウトしたのでピットに入らざるを得ず残念でしたが、仕方なかったと思います。ただ、決勝中は金曜から好調だったようにクルマの調子は良かったですし、最終的にファステストラップは獲れませんでしたが、それでもトップと同じレベルのペースでは周回出来たので大きな自信になりました。やはり予選ポジションが悪いと、今日のようにスタート直後のアクシデントにも遭遇する確立が高いですし、決勝でのペースが良くなったことで、あとは予選を改善すれば次戦のもてぎ以降ではもっと上位での良いレースが出来るはずだと思うので、また次回も頑張りたいと思います」
- 監督/立川 祐路
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「残念ながら2台ともにポイント獲得はならず、悔しい結果に終わりました。平手の方は最後燃費が厳しいことが分かったので、せっかく前に近づいていたところでしたがペースを落とさせるしかありませんでした。申し訳ないことをしましたが、なぜそういう状況が起こったのかをしっかりと検証し、次に向けての改善点としたいと思います。また、国本に関しては序盤のパンクが悔やまれますが、予想していた通り決勝中のペースはトップと遜色のないもので、かなり長い間ファステストラップを奪っていたことからも昨年からのさらなる成長を感じました。結果は残りませんでしたが、チームとして上位陣と戦えるパフォーマンスがあるということは確認出来たので、今年のProject μ/CERUMO・INGINGはひと味違う、という手応えを得るレースウィークになりました。次戦ではもっと予選ポジションを頑張って、良い形でレースを戦えればと思いますね」