SUPER FORMULA Rd7 SUZUKA 2015年11月8日 <決勝>
- ▶ 予選 ▶ 決勝
- 天候:雨 | コース状況:ウェット
- 第1レース #38 石浦 宏明 2位 / #39 国本 雄資 7位
- 第2レース #38 石浦 宏明 4位 / #39 国本 雄資 8位
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シリーズチャンピオン争いに決着をつける最終戦は、雨のもとで2レースが行われた。レース1のスターティンググリッドは、石浦が2番手につけている。そして、予選では11位となった国本は、他車がエンジン交換によるグリッド降格ペナルティを受けたためひとつ前に進んだ10番グリッドからレースに臨むこととなった。
予選日までは、日差しこそ入らなかったものの終日ドライコンディションとなった鈴鹿サーキット。しかし、夜半から降り出した雨はレース1が始まってもやむ気配はなく、スタート前に8分間で行われるウォームアップ走行では、高い水しぶきも上がるほどだった。レースはセーフティカースタートとなり、2周にわたるセーフティカーランの後に本格的なスタートが切られた。水しぶきで視界が遮られることもあり、レース序盤では大きな順位変動もなく周回が進められていたが、路面にたまる水の状況は刻一刻と変化しているため、ドライバーたちにとっては高い集中力を求められる、精神的にハードな戦いが続く。加えて、10番手スタートの国本は前後のマシンとのギャップが近く、さらにタフな戦いとなった。中盤以降はマシンにトラブルの症状も出始め、思うようにペースが上がらなくなり前のマシンを逃すこととなったが、後ろからのプレッシャーをしっかりとはねのけると、他車のリタイアもあり7位入賞でチェッカーを受けた。2番手の石浦もポジションキープで今季5回目の表彰台を獲得。終盤には一気にペースアップした小林可夢偉の猛追を受け、18周目のシケインでは小林が石浦の横に飛び込み順位が交錯する場面もあったが、勢い余ってコースオフを喫する小林を冷静に追い抜き、2位のポジションを守り切った。注目のシリーズランキングは、2番手の中嶋一貴が4位に入賞したことで、決着は本当の最終レースとなるレース2に持ち越しとなった。
インターバルの間も雨は降り続け、さらにコース上に水が乗った状態でレース2が行われることとなった。28周で争われる予定のレース2だったが、スタート直前、石浦の目の前のグリッドにつけていた小林可夢偉のマシンにトラブルが発生。スタート進行はやり直しとなる。レース距離は1周減算され、27周であらためてレーススタートとなった。小林のマシンが最後尾に下げられたため、目の前がクリアとなった石浦は落ち着いたスタートを決めて6番手のポジションをキープ。国本は1コーナーへ飛び込んでいく混乱の中で10番手にポジションを落とすこととなった。
レース1からマシンのセットアップを変更してレース2に臨んだ国本だが、選択したレインタイヤが雨量などのコースコンディションにマッチせず、ペースを上げられず苦しいレースとなった。それでも懸命にマシンを操り8番手まで順位を取り戻すと、最後は最後尾から怒涛の追い上げを見せてきた小林可夢偉とのバトルで観客をひきつけた。最後に残しておいたオーバーテイクシステムを使いつつ、要所をブロックして小林の追い上げを阻止。ポジションを守りきり、8位入賞を果たした。
6番手でレースを進めていく石浦。このポジションを守れば初の戴冠が確定する石浦は、前後のマシンとのギャップをコントロールしながら周回を重ねていく。周囲では、最終戦らしい激しいバトルが展開され、その中でアクシデントやトラブルに見舞われレースから退いていくマシンも出てくるが、それも石浦をフォローするかのよう。他車の脱落で、石浦の順位は10周目には5番手に、翌周には4番手に徐々に上がっていくこととなった。背後に迫るマシンも出てきたものの、これも後続同士のバトルで石浦とのギャップが広がり、レース終盤には4番手の単独走行に。危なげない走りで4位チェッカーを受け、今シーズンのドライバーズタイトルを獲得した。
ドライバー/#38 石浦 宏明
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「シリーズタイトルを手に入れることができて、嬉しい気持ちもありますが、それよりもホッとしたという気持ちの方が大きいです。この週末に向けてもプレッシャーは当然ありましたが、チームが明るい雰囲気でコースに送り出してくれたことで、予選からいい走りができましたし、『風は自分の方に吹いているかな』と感じることもできました。シーズン終盤からはチームの皆もプレッシャーを感じているように見えたので、しっかりと結果を残せて本当に良かったです」
- ドライバー/#39 国本 雄資
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「レース1では、途中からマシンに不具合が出てペースを上げることができずに苦戦しました。それを踏まえてレース2に向かいましたが、今度は選んだタイヤがコンディションに合わなかったようで、1レース目よりもペースが上がりませんでした。最後は、オーバーテイクシステムを残していたのでなんとかポジションを守ることはできましたが、最初から最後まで厳しいレースとなりました。自分の力を発揮できずに終わってしまい、納得のいかないシーズンとなりましたが、その中でも収穫はあったと思っています。このままでは終われません。来年チャンスをもらったときにこの悔しい思いを晴らせるように、シーズンオフにしっかりと準備したいと思います」
- 監督/立川 祐路
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「石浦は、いつも通りの戦いができました。今シーズン、どこのコースでもどんな状況でも一番安定して戦えていたのは石浦ですし、それがポイントをずっとリードし続けてこられた要因だと思っています。そういう部分があるので、今日も安心して見ていました。レース2がスタートしてすぐ、『何もなければタイトルが獲れるだろう』という感覚もありましたね。もちろんアクシデントやトラブル、何があるかわかりませんが、チームの皆も完璧な仕事をしてくれて、感謝しています。
シリーズチャンピオンを獲ったことで、来シーズンは追われる立場となります。しかし、チームとしてここ数年一歩一歩レベルを上げてきているので、来年に向けても同じように、今よりもレベルを上げられるようにシーズンオフも準備を進めていって、連覇を目指したいと思います。1年間、たくさんの応援をありがとうございました」
国本も、レースではウェットで苦しい展開になりましたが、本来の勢いというか、速さというものも少しずつ戻りつつあります。今シーズンは上手くいかないことが多くて悩んだ部分もありましたが、本来の国本はこんなものじゃない。また来年、今度は国本も優勝争いができるようにチームみんなでしっかりとやっていきたいです。