SUPER FORMULA 2014年7月13日 <決勝>
- ▶ 予選 ▶ 決勝
- 天候:曇りのち雨 | コース状況:ドライ→ウェット
- #38 石浦 宏明 4位 / #39 国本 雄資 3位
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シリーズ第2戦に引き続いて、富士スピードウェイを舞台に戦われたSUPER FORMULAのシリーズ第3戦。今回は通常のスタイルでレース距離も250kmとされたが、レース終盤ににわか雨がコースを濡らし、またスピンでコース上に停まったマシンを回収するためにセーフティカーが導入されるなど、レース終盤はハプニングの連続となった。しかし、こうした状況の中、P.MU/CERUMO・INGINGの2台をドライブする石浦宏明と国本雄資、2人のドライバーは安定したペースで走るとともに、チームが的確な判断でタイヤ交換を実施、8番手グリッドからスタートした国本が今季初となる3位表彰台を獲得。5番手グリッドから優勝の期待も高かった石浦は、思わぬマシントラブルに見舞われたものの4位に踏ん張り、2台揃っての上位入賞を果たすことになった。
前日までに比べて、雲が随分と厚い空模様で、日曜日が明けた。朝一番で行われたフリー走行はセッション開始時点で気温が24℃、路面温度が29℃でドライコンディション。結果的には石浦が5番手、国本が12番手のタイムをマークした。石浦は、予選に特化した仕様から、前回、シリーズ第2戦のレース2でテストして好感触を得たセットをベースにした決勝仕様を確認。一方の国本は、予選で悩まされたトラブルが完全に対策されているかの確認。2人ともに大きなテーマを抱えてのフリー走行だったが、ともに好感触を得たようだ。ポジションはともかく、タイム的にはトップとは僅差で、午後の決勝に向けて一層期待の高まるセッションとなったが、終盤にトラブルで停まったマシンから出火するハプニングもあって、セッションは残り数分のところで赤旗中断からそのまま終了。予定されていたスタート練習もキャンセルされてしまったが、これは、この日のレースの終盤を予告していたのかもしれない。
決勝レースは午後2時から。だがその1時間前に小雨が路面を濡らすことになった。これは文字通りの“通り雨”で、決勝がスタートするまでには殆ど乾いてしまい、実際、全車ドライタイヤで決勝レースをスタートしている。ちなみに、スタート時のコンディションは、セクター3に少し濡れた部分があったが基本的にはドライ。気温と路面温度は、それぞれ22℃と26℃だった。
スタートから一つだけポジションダウンしてオープニングラップを終えた石浦は2周目にオーバーランで遅れた中嶋一貴選手をパスして5番手に復帰したが、そこから先はレースが膠着。ポジションをキープしたまま周回を続けることになる。一方、8番手のグリッドからスタートした国本は、11番手までポジションを下げてオープニングラップを終えたが、3周目には9番手に復帰すると、そこからは山本尚貴選手を相手に8位争いのバトルを繰り広げることになった。長く続いたバトルは、21周目に入ったストレートエンドで、国本が山本選手をパスして決着。これで国本はポイント圏内へと復帰した。膠着していた上位争いで、最初に動いたのは石浦だった。27周を終えたところでルーティンのピットイン。ガソリン補給とタイヤ交換を行い、素早くピットを後にした石浦だったが、全車がルーティンのピットインを終えてみると、上位陣のオーダーに大きな変化はなく、石浦も、レース前半と同様5番手で走行していた。
そんなレースが大きく動いたのは43周目。大粒の雨が落ち始め、コースは一気にウェットコンディションに変わっていったのだ。最初にタイヤ交換を行ったのは石浦。45周を終えたところでピットに向かいレインタイヤに交換する。これで石浦は9番手まで後退したが、雨が強くなれば一気に優位に立てるはず。チームの誰もがそう思ったが、雨が本当に激しくなったのはそれから2~3周後。トップを快走していたジョワオ・パオロ・デ・オリベイラ選手も雨に足をすくわれたかヘアピン先でスピンしてコース上にストップ。これでセーフティカー(SC)がコースインするが、ちょうどそのタイミングで、今度は国本がピットインしてタイヤを交換した。これはまさにベストタイミングで、結果的に国本はこれで3番手に進出することになった。一方、石浦は、SCが目の前でコースインし、しばらくは遅いスピードで周回することを余儀なくされてしまい、その後でタイヤ交換した中嶋一貴選手や平川亮選手、そしてチームメイトの国本にも先行を許してしまうことになった。終盤はレインコンディションが酷くなり、ドライタイヤでステイアウトしたドライバーは大きくポジションダウン。中嶋選手、平川選手に続いて国本と石浦が3~4位でチェッカー。チームが期待していたシーンとは少し違っていたが、2人揃って上位入賞を果たすことになった。
不運なハプニングや予期せぬトラブル。本来なら勝っていたレースを失ったことには悔しさが残ったものの、見方を変えれば、それでも3~4位入賞できるほどマシンのポテンシャルは高まっているのも事実。立川祐路監督は、次回のもてぎ(8月24日決勝のシリーズ第4戦)では“もう一つ上”を狙いたいとコメントしているが、それが実現する可能性は高い。次戦に期待は高まっていく。
ドライバー/#38 石浦 宏明
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「スタートの混乱が落ち着いたところで5番手に着けていましたが、上位の5~6台は似たようなペースで。空が暗くなって、雨も降りそうで、ピットと相談してレインタイヤに替えることになったのですが、ちょうどそのタイミングでマシンにトラブルが出てしまいました。直進していてもステアリングを切った状態のままで、トラブルの原因も正確な状況も出来なくて…。ピットと相談して、心配だから無理しないよう気をつけていたんですが、ペース的には充分でした。でもSCがちょうど僕の目の前でコースインしてしまい、結果的にそれで勝てるレースを失ってしまいました。もちろん悔しいけれども、トラブルを抱えた状況だったのに4位入賞できたのも事実。マシンのパフォーマンスが高まっているのも事実。この位置でレースを続けていたらきっと勝つことができる。そう思っています」
- ドライバー/#39 国本 雄資
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「予選でのトラブルは、チームが完璧に治してくれて全く問題はなかったんですが、今日は非常にタフなレースになりました。スタート自体は悪くなかったんですが、1コーナーでイン側に飛び込んできたクルマを避けるために変なところを走ることになり、オープニングラップでだいぶ順位を落としてしまいました。そこから何とか追い上げて行くことはできたのですが、タイヤがタレて来るとやはり厳しくなって…。今日はもう(上位入賞の)チャンスはないだろうな。それでも運が良ければポイントをとるくらいできるかな、くらいに思っていたんですが最後に雨が降ってきて…。SCが入って、チームの(タイヤ交換の)判断もぴったりで。最後はレインコンディションが酷くなって かなり危険な状態だったんですが、最後まで走りきることができて3位入賞できました。ほんと、良かったです」
- 監督/立川 祐路
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「終盤に雨が降ってきて、レースはドタバタしましたね。マシンのトラブルもあったけど結果的には3位と4位で2台揃って入賞することができて良かったです。充分に前を狙えるポテンシャルがあることが分かったし、チームの全員がミスすることなくレースを終えることができた。それが何よりでした。38号車の石浦(宏明選手)は、レース終盤にマシンにトラブルが出てしまい、我慢のレースとなってしまいましたが、それでも4位で踏みとどまることができました。39号車の国本(雄資選手)も、8番手からのスタートで、序盤は少し苦しい展開になりました。終盤の雨にはチームの判断もベストでしたが、国本自身もノーミスで走ったからこそ表彰台に乗ることができました。クルマのポテンシャルが上がってきただけでなくチームにも良い風が吹き始めたような気がします。この流れ、勢いを継続して、次のレースではもう一つ上、優勝と2台揃って表彰台、を目指します」
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